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ああ

 

私はすっかり忘れていた

私は龍だった

自分の体が太くて揺るぎない

自信に満ちた胴体だったことを

すっかり忘れていた

 

でも今思い出した

 

大きな瞼に縁取られ

深い色の 澄んだまなざしを

 

 

私は思い出した

あのどこまでも見透かされ

全てを許されたまなざしを

 

 

私は思い出した

それは言葉じゃなくて伝わってくる

 

 

「あなたはここにいていい」

 

それは私が体で感じる

 

 

「あなたはここにいていい」

頭よりも先に

胸の奥で溶けていく気持ち

「あなたはここにいていい」

私がここにいることを

私の大元にいるおおきな龍が

認めている

私はここに

ただ命があるだけの存在

そのことを龍がよく見てくれている

おおきなおおきなまなざしで

私が生まれてからの全てを見てくれている

「あなたはここにいていい」

ただ生きているだけの私を

見ている

 

「あなたはただ生きている存在で

何もせずとも

私の魂の表現の1つ

あなたはここにいていい

あなたが生きている間も

体がなくなってからも

私はあなたをここにいていいと

許し続けている

私はこの瞳で

あなたを見てきた

これからも私は

あなたをこのまなざしで

見ている

あなたはここにいていい

あなたはずっと

私の片割れ

あなたはここにいていい」

 

 

 

 

私は何も力が発揮できない時も

何も持っていないただの私でいるときも

いつだって

ここにいていいと

おおきなおおきな龍がそのまなざしで

話しかけてくれていた

私は覚えている

 

龍だった時

私は力強い存在感と

誰が見ても威厳を感じさせる光を身にまとっていた

あの強い感覚

力がみなぎる感覚

どこまでも風を振り払い

飛んでゆく

胴体をうねらせカーブする感覚も

ああ

覚えている

そして今はわかる

あの力強さは

自分がここにいていいと

私を深くあいして

自分はここで自分らしく振舞っていいと

認めていたから

私も今

あの力が湧いてくる場所に立っている

ここにいていいと

愛されたわたし

私の中であたたかなものが

溢れはじめた

私はここにいていい

私は私の自由を

​空に解き放った

​私はここにいる

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