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  • sunao

03


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私は降りてきた



広い宇宙空間の真空を

音もなく

ルルルルルルルと

上から下に

降ってきた




両手を横に伸ばし

無表情で

口をすぼめ

真っ赤な透ける長衣を着て

スカートをふくらませ

ひるがえし

両足を揃えて

星の間を降ってきた






私の体は知識でできている

全ての答えが私の体の中にあり

緻密に構築された情報の一つ一つが

点滅しては浮かび上がっている

蓄積された知識は

有機的で繰り返し私の中を行ったり来たり

自然に情報は更新され

いつでも今にふさわしくフィットするよう

取り替えられている

いつでも私の中には

実用的で

永遠不滅の知性が流れている






私は問わず語りで話すことはない

私に問いを投げかけた人に

ふさわしい答えを

私が口から出す時

必要な調整ができるようになっている

私はあなたに話す口を持っている




問いのないところには

答えもない


答えのないところには

何もない


ただの宇宙



問いと答えは同時に生まれ

背中合わせで存在する




問われれば私は答えを返す

問いを投げかけた人に

答えが返ってくるのは

宇宙の法則

私はその一つのプロセス

応えるための口を

私は持っている



私の頭にある

繊細で一粒の光が強い

ぎっしりとダイヤが施されている

銀の冠は

宇宙からの光を捉え

そこから情報を取り込んでいる




そうして私の体に吸収され

赤い長衣の色に乗って

生かされるための配置につく




私は返事をするためにここにいる

問うことに関して

悩む必要はない

私は返事をするためにここにいる

問いを持つ人が私を待っている





私は答えにきた




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