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  • sunao

07





07


わたしは立っている


わたしはこの野原に立って

地平の遥か彼方まで見渡せる場所にいる

足元に感じる地面の層が

わたしにとってはご馳走



重なっている層

折り、積み上げられている地面の重なり

時間の経過とともに

地面に関わるあらゆるものが

そこに集約されて

一つの地平を作っている

そのことがわたしにとってのご馳走


この重なりが

歴史を包んで、何も言わず横たわっているこの地面が

わたしにとってのおいしいもの

わたしはおいしいを、舌ではなく

体の表面の皮膚で味わう

どの場所にいても変わらない味わい方

舌にのせる前に

わたしにはわかる


わたしが好きな地面は

おいしいウエハースのように

堆積した栄養の循環するチョコレート色

新しい命と、それを宿す形が作られる真っ白のクリーム色

喜びに染まる頬で生を味わう、うれしいイチゴのピンク

さわやかに風が吹き、なびく草木の呼び合うグリーン

そんなものが層になっている


そのどれもがわたしの好きなもの

わたしが佇みたかった地面は

そんな風に作られているもの

ここに立っていると

わたしはわたしが喜ぶものを

ちゃんと身体で味わうことができる


体がないときはこれができなかったので

いつも五感に憧れがあった気がする


足の下においしい層を感じて

体を貫くトーラスのエネルギー

わたしの体の中を上から下にまっすぐ通り

頭から足ものとへ

お腹の中もまっすぐにスッと光が走り

わたしに力が満ちてくる

また光が頭の上から流れ込み

体の下の方へ通ってゆく

わたしには止められない

わたしにはコントロールできない

わたしが味わっているもの


この地面中の横に重なる層と

わたしを流れる縦のエネルギー

この二つがわたしが存在していることで交わっている

わたしはこの地平に立つ光のクロス

時間とエネルギーの交わる

純粋なクロス


わたしは立っている

わたしはまた体がなくなるまで

この楽しみが体を流れてゆくのを

味わっている






消化器の調子がいいこと

皮膚の感覚

クロスのモチーフ

ポニーテール

立つときの足の感覚

重心の安定感

何もなくてもうふふと笑いたい気持ち


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