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わたしが磨いているもの
真っ白な柔らかい大根は
根の方から水で洗うと
なんとも言えない瑞々しさと
よい雰囲気がひろがっていく
誰にでも届く
分け隔てないこの
ちょうど良いものを磨く喜びは
とっても気分のいいものだ
茶会を催して
さんざめく軽い笑いが広がっていくことと
似ている
わたしは誰にでもわかる
この良いものを扱う手を持っている
わたしが携われば
この良いものは
どんどん広がっていく
ここに環がある
ひとつなぎになったもの
ぐるりと端と端が繋がって
途切れることのない
ひとつの輪
手繰り寄せて
どこを手に取っても
切れることなくちゃんと実がある
一続きになるとは
どこを持っても
同じ価値があるということ
この完璧な価値を
わたしは胸の内に
満足感と手応えがしっかり宿るので
このやり方を選んだのだった
この環があればどこへでもいける
どこに行っても
同じ価値の良いもの
それが待っているから
わたしは安心できる
心底安心できると
わたしの体は
下の方から開けて
土台がひっくり返り
まるでタコのような形になった
柔軟性と
安定感
この二つのアイテムを身にまとって
わたしはここに安定した国をこしらえた
一見ささやかに見えるが
この国は根が太く張られ
土台がしっかりしている
深く深く根が地中に続いてゆき
がっしりと地球につながっている
環があることで
この国は安定する
環を使えることの良さを
縄文の頃にも感じていた
物理の法則ではなく
環の力で
わたしは色々なものを動かしていた
今また環を使って
目には見えないものの動かし方を
実践し
繰り返している
伸びやかに
軽やかに
大きなものを動かし
環につなげて
国を育てる
深く深く
根を張り
地球につなげる
そのことだけが
わたしのこころのたのしみ
どこにいても
わたしの環は
途切れず
わたしの腕に
丸く備えられている
どこにいても
軽やかに
環がわたしの中にある
よくできた大根
ブレスレット
自分が中心の安定した国
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