13
宇宙の中を進みながら
この星でできることを
私は選んでいた
過去の仕事で
これまでにやってきたことは
今は使えそうにない
ここでは動かないものを
動かす力が必要だ
変容しないもの
不可逆なもの
定まっているものを
使うしかない
そのことのある種絶望に似た感覚を
グッと飲み込んでいた
グッと飲み込むことがあんまりにも苦しかったから
二度とそんなことがないように
私は一人で
ポチッと河原にしゃがみ込み
石を拾うふりをして
孤独でいようとした
でもできなかった
私の中には
途切れさせることのできない
あらゆるものとの繋がりがあり
どこからアクセスしても
全宇宙のコードが私を捉えて
しっかりと必要な部位に
組み込まれている
孤独はまやかし
苦痛はいっときの夢
どこにいても
あらゆるものが私に繋がり
さっと手を差し出し
繋がる先を見せてくる
結局一人には馴れないのだ
任務を背負っていた時のように
私には全てが見渡せているし
解明できないものもない
ただこの世の使い方を
実地で体得することだけが
必要なだけだった
甘えて寄り添い
私を包んでくれるものが
いつも私の周りにいる
面映ゆい気がしていても
頬がいかに硬くなっていても
それは嬉しいことだった
幼子が指を吸うように
おいしいものとして
それを飲み干す
私が欲しい時
いつも私を甘やかすものが
私の周りにいる
さてどうだろう
孤独を甘やかに
忘れることができた私には
一体感が以前よりも厚みを持って
感じられるようになった
この厚みの中に
あらゆるものの情報が詰まっている
この厚みの中に
余すことなく必要な生命のコードが蓄えられている
私が孤独を忘れる時
この厚みの中から
私のコードを伝って
勢いよく生命たちが
必要な情報を持って
次元へのアクセスを始める
私が指図しなくとも
必要な生命が
必要な情報を
必要なコードに繋ぎ直し
私の厚みの中から
次元へと勢いよく
飛び出していく
のんびりとカウチに寝そべりながら
私の厚みから
命たちが伸びていく様を
頼もしい気持ちで眺めている
ここまでできれば
私の仕事は終わったも同然
また星の似姿を
あちこちに探す遊びを
始めるとしよう
うっかり重役を引き受けてしまっても
それは私の厚みが引き寄せるのだからしょうがない
全部知っている私には
なんともないものだ
カウチに寝そべりながら
ここまで厚みを蓄えた自分を
また褒めて
少し眠りについた
そして、こちらの世界で起きた
地面の中を堆積した時空が
重なり合っている
圧を感じながらも
ここは歩くことができた
前進するうちに
コアまで歩きついた
丸く活動しているコアの淵に手をかけて
今
一番大事な仕事を一人でやっていることに
ふと我に返って気がついた
自分の中にある
自尊心が
瞬時に最高潮に達して
頭上から爆発するとともに
コアを手にかけながら
グリッドを動かした
一番ちょうどいいところに
コアを収めるまで
何度か回して
カチリと
ピタリと
合わさった時に
コアの働きが
瞬く間に始まり
私の体は吹き飛ばされ
私は眠りから目覚めた
全てが終わった後で
気の抜ける心地で
またカウチに座り直し
甘やかな手が
周りを包んでいることに安心して
心地よく
ため息を漏らした
これで
全部、終了
ふぅ
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