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  • sunao

15


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わたしは踊る


片足立ちでくるくると

青いたすきをかけて

わたしは踊る


潮流にも流されず

片足立ちでくるくると踊る

頭には金の塔のような飾り

ては胸の前で合掌

朗らかに時折声を通しながら笑

くるくると踊る


踊りの基本姿勢は

縁を繋ぐことにある

わたしはくるくると

動く時の

一瞬の角度ごとに

結ばれた縁を切り

またその瞬間に

縁を繋ぎなおしている


踊る楽しみは

体が動くことの

生き生きした感覚と

1秒前と違う方向を体が向くことで

グリッドが変わり

世界の新しい側面に

一瞬ごとに

移動していること


左と右を交互に向く時

わたしには世界のバリエーションが

増えたように感じる

瞬く間にたくさんの世界が創出されて

わたしは踊るごとに

その一つづつと

手を繋ぎなおして

ステップを踏んでいる


時折この縁繋ぎを

大きな大きな白い毛の犬に

手伝ってもらう

わたしが踊っている間

腕置きの場所から現れて

わたしが体を持たせられる

一番いい角度から

添ってくる


バとマの合わさる音から

その犬は生まれてくる


大きな大きな白い犬と

ある時

洞窟に出かけたことがあった


わたしは入ったことがなかったので

犬に手を置き

入るべきかどうか

胸の内に問うてみた


するとその瞬間

わたしの眼前に

丸い眼の赤くて黄色い

土地の神様が

洞穴から出てきた


牙が生えているが

これはデザイン上こうなっているだけで

危険なものではないことが

わたしにはすぐにわかった


神様はガチャガチャした飾りをたくさんつけていたが

カラフルな花束のようで

煩いようなものではないことも

すぐにわかった


神様はわたしに

洞窟に入ることはないと教えてくれて

今後もわたしに必要のない場所には

ちゃんと入らなくてよくなるように

おまじないを教えてくれた


縁を繋ぎ続けるわたしには

手を結ぶ相手がその都度現れるが

必要のないものとの

繋がりができないよう

神様が守ってくれているのだった


踊り続けるわたしの足腰は

たくましいパワーを持つ

芯がしっかりした

支えになった


大きな白い犬を添わせて

くるくると

縁を繋ぎ続ける



わたしにはたどり着きたい先があった

くるくる踊ることで

足もとに回旋する水の渦を呼び

高くにある岸辺に

飛び上がって行きたかった


白い犬が一緒にいてくれたこともあり

なんども繰り返し目指していたら

とうとう高みの祠に

飛び上がることができた


わたしはいつも

爽やかでいい気分で踊ってきたが

この時は興奮して

グッと握りしめた手を掲げ

自分の成功を天に知らせるよう

声をあげた


祠の小さな扉を開いて

わたしの金色に光る

小さな仏像を

手に取った


この時この瞬間

わたしにしかできないやり方で

わたしは自分の神聖さを

受け取った


手で半顔を抑えて

溢れる涙をこぼしながら

わたしはだんだんと

体が金色に戻っていくのを

感じて

そのありようを

見ていた


わたしはいつだって

自分を追いかけてきたが

金色の神聖さを思い出して

肉の皮が剥がれた今

どこにもいかなくとも

ここにわたしの

宇宙を見る軸が

完成していたことを

思い出した


思い出して

本当に良かったと

安堵する気持ちが

だんだんと

薄れ

わたしはここに祀られる

金色の像に戻り


天にのぼっていく

毛のふさふさした白い犬を

穏やかな心地で

遠くに眺めた


わたしは

金の像に

戻った


この土地は

いつまでも

安泰だ

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