16
わたしはさっぱりさせる
白い衣を着ていたわたしは
事あるごとに
体の奥底から
さっぱりさせることが
いつもやっていることだった
さっぱり
さっぱり
さっぱり
沐浴をして
さっと明るい光が射すように
わたしの衣が四方に開いてとび
わたしは肌着姿になったところで
新しく清々しい
白い衣を纏うのだった
このように清めておくことが
わたしをいつもわたしらしく
在らせられる
一番のいい方法だった
長い蛇がわたしのゆく道を遮り
わたしのことを
良いものと定めた態度で
腕にスルスルと
登ってきた
わたしは旧友を迎えるような
態度で
相棒と呼びかけた
あまりにもわたしが
清々しく在ったためか
緑と黒の模様だった蛇は
ハラハラと皮を剥がれ落として
みるみるうちに
白く光る
優しいあかい瞳の蛇に
生まれ変わった
白い蛇は
チロチロと舌を出して
わたしに挨拶した
道を歩いていく途中で
わたしは神殿を見つけた
軒先に腰掛け
くつろぐうちに
白い蛇は
空にふわりと浮かび
そのまま天まで飛んで行った
わたしは旧友が離れて行ったことを少しも悔やまず
微笑ましい気持ちで
白い蛇の旅路を祈った
わたし以上に朗らかな者はいない
大調和の淵に立って
少しづつ
宇宙の構造を示す秤が
金の針を巡らせる様子を
見ていた
白く清い衣は
ここに立つために
着て着ておいて良かった
ここからは大事な仕事だ
間違えることができない
太い金の針を
両手で抱えて
ピタリと
カチリとハマる向きに
動かしていく
一つ定まるごとに安堵した
宇宙を遊泳しているときに
わたしは大きな緑の鰐に
バクリと食べられたことがあった
真っ暗な鰐の腹のなかで
事の顛末に
驚いてたが
じわじわと
段々と
鰐の皮が剥がれ出して
中から真っ白な皮の
優しい目をした鰐が
現れた
先ほどわたしを飲み込んだ鰐とは
全く別のような見た目になったが
わたしの清いさっぱりとした魂の影響で
次元が違う鰐になっていた
わたしの影響は
そのものの一番清くて新しい姿を
思い出させる
わたしの嬉しいことは
このように全てを清めて
一番純粋な姿を
表させてしまう働きが
自然に発揮されていても
家族が何も変わらず
周りにあること
心をめくってもめくっても
偽りが生まれていないこと
偽りは
自分自身との不一致から
表面化してくる
わたしはこのめくる働きが
家族との時間の障害にならないことに
また安堵した
一番初めの気持ちは
そのものの根元から湧いてくる
根元のズレがなければ
何をしていても
大丈夫なのだ
根元につながっていることが
今日もわたしを安堵させる
わたしがこの家族や集団に
参加していられるという
確かな条件
根元の中に入っていくと
宇宙の母体に通じている
懐かしく思う気持ちが湧いてくるのを感じながら
わたしは家族の話に
耳を傾けていた
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