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  • sunao

22



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私は笑っている


笑って笑って

体の中に溜まっていたものが

ぜんぶぜんぶ

外に出てしまった


私の後ろにいる緑のドラゴンが

私の目に自分の目を重ね合わせて

私が見ているものを

見ている


ドラゴンは私が笑っていると

人間の笑いが

おかしくて楽しくて

しょうがないらしく

うねる胴体をジャバジャバいわせて

笑いにはまっている


私の笑いは

パッションフルーツのように

鮮やか

パッションフルーツの皮が

ナイフでくりっと剥かれ得るように

さっぱりひらいている


わははわははと

声を上げれば

後ろでドラゴンも

くねり笑いを共有している


お互いに

わははわははと腹を抱えて

明るい波を

周りにヒュンヒュン飛ばしている


くねって絡まり合って

ひとつ付きの体になった

私とドラゴンの

淑やかな気持ち


笑っていると

私の体の外側と内側が

ひっくり返って

外が内

内が外に

なっていた

私の笑いで

内側はすっかり明るく白くなっていたので

外側の方が暗い色味だった

ひっくり返ったら

明るく白いからだに

暗くて縮んでいる中味になった


私は笑い続けた

笑い続けていたら

暗くて縮んでいる中味が

スルスルと消化されて

体の下の方から出ていった


ドラゴンは

私が体から

暗くて縮んだ中味を出したことも

指をさして笑った


ドラゴンにはない習性が

面白くて興味を引いたようだった


すっかり身軽になった私は


勢いをつけて

しなやかなフォームで

水面にジャンプした


小さな水しぶきを立てて

両手を揃えたフォームの先から

私は水の中に滑り込んだ



淡い色の映った水

プール

薄い黄色の水着を着た私は

くるりと動く

浮力に守られた体を翻した


ドラゴンは水中には入ってこられないようだった

水面の向こうに見える

私のドラゴン



あんなに強そうでかっこいいのに

水の中には入れないのか

すごい存在でも

できないことや

不得意なことは

あるのか



いとしい気持ちになって

私はドラゴンを眺めた



私が見たかったもの


すごい存在にならなくてもいい


私が見たかったもの


力からも

権力からも

重々しさからも

解かれて

自由になって

するりするりと

思うがままに

泳いでいくこと


薄い黄色の水着を着て

水中を

するりするりと

泳いでいくこと


淑やかな体を翻して

スルスルと

泳ぐ

境界線のない水の中を

自由に

伸びやかに

泳いでいくこと


私の体は

私の自由

縛られることのない

私の自由


気持ちがいい水の感触を

水底の方から見上げると

ドラゴンはどこかに飛び去って

太陽の光が

水面に揺れているのが見えた


私はこの自由を私を保護するバリアーにして

これから海のどんな場所へも

出かけてゆく


どこへいっても

私は海のそれぞれの場所の姿を

面白く眺める


今度は笑いは少なめに

胸にしみる光景を

味わいに


スルリスルリと

進んでいく


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