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  • sunao

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砂漠のような赤い岩の

通路をすり抜けて

私は白い宮殿のある街に

たどり着いた



せまい

岩の間をすり抜けるには

体は壁に当たらないように

引っかからないように

ひらりと体を滑らせる


自分より何倍も

高い岩の間を

摩擦を起こさないように

ひらりひらりと

すり抜ける


私がきている服は

透けた白いシルクのようなオーガンジーのような

風が吹き抜けるような服


パンツスタイルの

インドの王女がきている

お腹やデコルテが空いた服

私のひらりとした動きに

優雅さと気品を沿わせる

ふさわしい装い



岩の通路を抜けてから

私は真っ白な建物が並ぶ街を

また、ひらりひらりと移動した


私はとても上品で優雅

自分の行いやスタイルに

私らしい自尊心とプライドを持っている

ひらりと軽く動いても

私は私の立派さを

忘れることはない



白い家たちの影をくぐり抜けて

歩きながら

私は街の地下水路を見つけて

赤茶色いつちの回廊を

降りていった


ところどころ日の差し込む

この回廊は

白い宮殿の街のある

丘陵地の

ちょうど平野との接点にある


平野側から見ると平野の終わり

と呼ばれているが

白い宮殿の街から見るとここは

低地に見えるからか

その街の住人は

回廊のことを「下の方の誰も生きたがらない場所」と呼んでいた

土地の高低差が

階級づけされているナンセンスさに

私はやれやれといった気持ちになった


私は私の足に自信があるから

回路の下に降りることもたやすく

軽い身のこなしで

赤茶の土壁を伝っていった


この回廊には

瑠璃と紺と白銀が交じり合った

うるわしい水が流れている

飲み水とは全く違う

エネルギーそのものの

流れている水路


私はこの細い川の淵に

手をついて

自分の顔を写してみた

この深いエネルギーに触れるために

今回の旅があったのだ


触れるには

指先が少し震えている


私のちっぽけな体が

溶けて消えてしまいそうなほどの

深く広大な万物を溶かし込んだエネルギーの流れ


ここにこうして

傍にいるだで

骨盤がキュッと締まり

大きなものへの畏怖を感じる


そっと手を

川に入れてみた



指の皮膚が

川に触れるか触れないかの瞬間に

私の体は

強烈な引力に引き込まれて

体ごと

ドボンと宇宙の水の中に

入り込んでいた



驚いた

落ちたことにも

動揺したが

この瑠璃に光る水の中では

私は全く自由に体を動かし

苦しくもなく

スイー

スイーと

遠くまで泳ぐことができたからだ

川底を歩くこともできる


ああみんなにこの自由さを

教えてあげたい


私たちは自分で自分につけた階級や

文化や社会規範を

乾いた赤茶の土の暮らしで

信じ込んでいるが

この深い瑠璃の中にきてみれば

それは幻想だったことが

わかるから


私が今こうして

永遠にエネルギーが流れているような

終わりのない青の中にいて

無限に触っていることが

みんなに伝われば

きっと

細切れの枷を

みんな自らの腕から外すだろう


私は最初にこの無限の青を見つけた

私が最初に見つけた

私を飲み込んでいる場所


ここにはただ

水が流れるように

エネルギーが流れている

奪い合うものでも

惜しむものでもない

いつまでも永遠広大な

青い流れが

どこまでも続いている


みんなに教える前に

まずは私一人で

この瑠璃の青の流れる先へ行ってみよう

この足で歩いて

私の手に触れる白銀の明かりをたどって


胸の奥で

宝石のような気持ちが

カチカチなっているのがわかる


私はこの未知を

歩きながら

体にうれしさが溢れてくるのを

感じ




だんだん自分の体が

白く光り出していくのを

私を愛する誰かが

私を見つめるように

いとしく思っていた





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