35
私は持っている
真っ赤な身を
太陽に当てて
皮をむいて
果肉を剥ぐ
溢れそうなジューシーさ
赤い果実を育てる時には
自分の欲望が
一体どんな風なのかを
必ず知っておかなくてはならない
無邪気なやり方で
適当に当たりをつけて
育てることもできるが
本当に欲しいものや
本当に育てたいものがあるときは
自分の欲が
どんな風に収穫物物から表現されるか
出来上がった果実を見た時に
本当に欲しかったものは
これだ!と満足できるかどうかは
まず自分が、
一体どういうものが見たいのか
どんな動機があるのかを知り
現実にそれが育って結実するまで
必要なこと
的確な手入れをしなくてはならない
いつでも自分の見たいもの
味わいたいものは
必ず、動機にぴったりと基づいて
世話をする
実が出来上がった時の
満足感が
次の時も私を駆り立てるモチベーションになる
私はそれがたまらない快感や喜びになる
私はこの、綿密な世話や的確に必要な手入れをすることで
自分が豊かさのそばにずっといられると
信じている
赤いジューシーな壁に
ピタリと体を貼り付けて
果実が欲しがっているものに
耳をすませる
聞こえてくる声に
その時の求めに応じて
水や
土や
太陽や
空気や
風、
そして会話を
壁越しの果実に
届ける
私はこの果実を育てることが
たまらなくうれしい
誰にも邪魔されず
ずっとこの仕事を
繰り返したい
私は満足している
Comentários