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  • sunao

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私はパンジーの天使


むらさきいろのパンジーを見ながら

私は嬉しくて

体が中でぐるぐる回転していた


横の回転で

私はうれしい気持ちを味わっていた


舗装された道の上を浮かびながら

羽根で浮いていることを

その感覚を私は思い返していた


羽根の付け根は

背中のあたりで

さっき見たむらさきのパンジーは

私の左手の方にある


前を向くと

舗装された道は続いていて

左手のパンジーは

どうも私が歩く道のスタート地点だったようだ


ふか~っと浮かびながら

道を進む私は

どこまでいっても地面に足をつけることが

合わない


浮いている方が

魂の形にあっているのだ

天使なんだから


私にとっては

一つ一つのものが

とっても存在感がある


オレンジ色の椅子や

草の緑が

ダイレクトに感じられる

影響が大きいから

それを長い時間持っていると

負荷がかかるのだ



何も持たずにこのよにきたことを

覚えているから

いくつもものを持っていなくてはいけないことが

私には合わないのだ

合わないから

すぐその辺りに

置いといてしまう

何も持たないでいることが

一番私が私らしい


今来ている白いワンピースと

サンダルと

羽根と輪があれば

私は十分に私らしい


所有することを

もともと備えていないのだ


だから

むらさき色のパンジーも

つまない

道にも降りない

持っていないことで

こんなに自由を味わえるんだから

持っていない方が豊かだなぁ

解放されている喜び、に

近い感覚



私の味わい方はこうだ

例えば指にひとすくいの蜂蜜を乗せ

ペロリと舐める

私はこの時

うれしい、おいしい を感じて

うれしい、おいしい が

私の所有物になる


角に足をぶつけて

指が赤く腫れたら

いたい、驚き を感じて

いたい、驚き が私の所有物になる

会えない人に

さみしい、悲しい を感じたら

さみしい、悲しい が私の所有物になる


私の持ち物は

そんな風にして集められ

私の周りに

滲んだようなカラフルな色で

浮かんでいる


今までも

たくさん集まったが

これからもたくさん集めるつもりだ


たくさんたくさん集まったら

端の方から

だんだん

物になっていく


私の

うれしい と

悲しい と

楽しい と

イライラ が

重なっている部分が

ものになると


それは映画館



私の

さみしい と

苦しい と

面白い と

ワクワク が

重なっているところは

クローゼット


私の

ごきげん の塊が

ポロンとものになったら

それは

黄色い縞模様のパック

になる


私はたくさん集めて

たくさん持っているから

物には困っていない


端の方から

自然にものになっていく作用も

自然にそうなっているから

私の物だけど

みんなのもの


だから

どれでもあげる


私の集めた

カラフルな色たちは

私の周りに浮かんでいる


私はこのやり方が

気に入っている


もうこのやり方を知っているから

私はこれで

いく



ずっと色を集めて

それが物になって

そしてまた

私の色が

私の周りに増えていく


天使の私がやりたかったのは

それ





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