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私ははじける
赤い狩衣をかけて
金の烏帽子を乗せて
黒髪を垂らし
私は龍を呼んでいた
降りて来た龍と更新して
重々しいものを下ろし
時には激しい言葉を吐き出しながら
私はこの役を精一杯の体ごと
担っていた
時には苦しくて
ツノが生えてくることもあったが
私は担っている役を
しっかり果たすために
龍と舞い
轟く雷をくぐり
精一杯自分の力を果たした
終えた後は
すっかりその緊張した体を脱いで
私は白い肌の
無邪気な子供になった
白いパンツをはき
きれいな水のお風呂に
入り
パシャパシャと
きげんよく遊んだ
ははぁ
ははぁと笑い
赤ん坊のように
手足をパタパタうごかし
気持ちのいいことを
ただただ単純に
喜んで遊んだ
ははぁ
ははぁ
すっぽんぽんはたのしい
私は水のお風呂に入りながら
この身になる前、
ずっとずっと前
自分の体はどんな風に生きていたのかを
目を閉じて
思い出そうとした
私は目を閉じながら自分の
ずっとずっと前
一番最初の私が
どんな姿だったのかを尋ねた
そしたらわかった
一番最初の私は
淡い水の中で
ブルーベリーのような形をした
クラゲのようの
花のような
少し透明の
丸い泡のふくらみだった
光がさす
広い広い海のような
水の集まりの中で
一番最初の私は
丸い縁取りの
外側にあるものの全部を
泡のふくらみの体の表面で
全部味わっていた
泡のふくらみの表面は
私の体の境目だったが
同時に世界の全てがそこにあって
私はその表面から
存在するもの全てを
感じていた
私は体があったから
個体だった
でも
全ての存在を感じていたから
まるで私は
私だけれど
全ての存在を
自分のように感じていた
寂しくも
悲しくもない
明るい光が
私の泡の中で開くように
それは
いいなと感じるものだった
白い肌の私は目を開けて
そのことを反芻した
なーんだ私
一人だけど一人じゃなかった
なんかさみしいこととか感じる必要なかったんだな~
と思って
今度から
赤い狩衣の緊張した人をかぶるときも
この感覚を忘れないでいようと
思った
ふやふやしながら
ふやふやと
任務をやろうっと
と決めて
今度は
すっかり気分が落ち着いて
白いパンツのまま
のんびり昼寝をした
すーすー
昔の
泡だった自分の
夢を見ながら
寝息を立てて
すーすー
ねむった
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