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  • sunao

56



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私は


深い海の中で


地底から続いている



岩壁の一部になって


ここでじっと息を潜めていた



じっとしていると


私は


すごく


いい感じになる


動かず


ここで


岩肌が



私の後ろにずっとずっと


大きく広く山のように続いているのを


感じている



岩の中には

なににもならない

なにも感じられない

石が詰まっているかというと


実はそうではない



この巨大な岩壁の中には


おびただしい数の


地脈が張り巡らされている


私の体の後ろに感じる


この岩壁の脈


岩の中を方々に伸びて


いろんな情報を


私に伝えてくれている


じっとしていながら


私はこうやって


知識がやり取りされているのを


面白く感じている



私はこの


岩壁の揺るぎない巨大さが好きだ


長い長い時間をかけて


海の中に隆起し


長い長い時間にも


崩れることのない強固さ


長く変わらないことは


私にとっては豊かなこと


1番に良さを感じられる


重要なことなのだ




私の楽しみは他にもある



それは


この岩肌の中にある


脈を活かして


海底火山の噴火を起こすことだ


荒らしたり


攻撃したりしたいのではない



私は噴火を起こし


火と


石と


熱と


ガスとが


爆発する働きを使って


地続きの大地を

大きく揺らし


その振動と


爆発と


熱の激流で


覆いつくし


溶岩を溢れさせ

今あるものを


ダイナミックに


浄化するのだ



溶岩石に

全てを

包み


壊すことなく

浄化する




表面に増えてしまった

余計なものを


解消するために


噴火をして


浄化して

無くすのだ



自然のものたちは


どんな浄化の後も


必ず再生する


自然と調和のないものは


再生しない



基準がはっきりしている



再生しないものは

その時無くなっても大丈夫なものだったことがわかる




噴火の揺さぶりがじわじわと

どんどんと響き



爆発の噴火が起こり


溶岩が海底に


そして届く限りの地表に流れ


表面の凹凸を隠していく


無くしていく


浄化していく












必要な場所に溶岩が行き渡り


かたい石の大地が出来上がった


そして徐々に


草花の種が


風に運ばれて


届き始めた





再生のための準備が


私の担当外のものたちによって


始められたのを感じると


私はまた


海の岩肌に戻って


成果を見つめ


仕事の完了を迎える



私は岩や


地脈や


噴火の担当なので


その大仕事が終われば


あとは


岩肌からするりと抜けでて


人魚の体で


方々の海へ


遊びに出かける



この担当制が

私は気に入っている


自分が本当にできること


自分が本当に


やりたいと


動機を感じること


それ以外は


私が出しゃばらず


他の生命の担当員たちが


それぞれに


才能と動機を持ち


地球の活動を進めている


私は一担当員に過ぎないが


皆、組み合わさってこそ


能力が生きるので


こうして岩にじっとしていたり


終えてから人魚の体で


泳ぎ回る


このルーティーンを


本当に良いものだと感じている



担当のことだけは

常に愛のモチベーションがあるからだ


私は決してここを履き違えない



愛のモチベーションが起こらないことを


誰かのためにとこなしてしまっては


実のところ


誰のためにもならないと


私は学んでいる


誰のためにもならないことは


誰からもモチベーションが湧かない


それには手を出してはならない




私はこのことにおいて


完璧な調和を感じる


必要なところに


必要な才能と


モチベーションが配置され


お互いに補い合い


担当しあい


それぞれの愛しいルーティーンを


過ごしている



私は


私にこの


担当が与えられていることに


感謝している






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