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日常の中で生まれてくる果実
両手の手で抱えるくらいの
大きさの
緑色の実
だんだんと熟れて赤い色になるのが
わたしは好きだった
何気ない
しぜんな毎日の中で
その実が育って行くことも嬉しかったし
その実のジューシーさや
果肉には
体にいい栄養があることも好きだった
こうやって収穫できると
わたしには
生活の中にご褒美があると感じていた
こうやって実を
自分の手にだけている今が
毎日が
何かいいものをプレゼントされ続けている証拠だった
わたしの毎日は
何気ないことで埋め尽くされているが
その一つ一つは
取り上げてみると
わたしを喜ばせるものばかりだった
わたしにとっても良きものが用意されているのが
この世界
わたしは
何気ない毎日に
特別な贈り物をもらい続けている
わたしはなんて特別なんだろう
特別にうれしいし
特別に優しくされ
特別に心地よくいられる
何気ないものを
プレゼントされ続ける毎日の中は
感じる個体のわたしが在るという点で
全てが特別なものになった
油揚げが好き
ということと
クリスタルが好き
ということは
同じ
好きなサンダルが履けることと
アセンションすることは
同じ
覚醒することと
朝起きられることは
同じ
靴ひもが結べることと
運命の相手が現れることは
同じ
散歩できることと
体外遊泳することは
同じ
赤い実を手に持てることと
前世の記憶を全て思い出すことは
同じ
朝日を見られることと
星の記憶を見ることは
同じ
わたしの毎日は
なんということもなく普通にすぎる
普通を一つづつつまんで持ち上げて見ると
全ては
わたしに用意された
何かすごくいいものばかり
だからわたしは
愛されていることがわかるし
大切な存在だということが
ちゃんとわかる
食卓にのぼった普段のおかずが
輪廻転成の仕組みの素晴らしさに匹敵する
わたしは毎日暮らしていれば良い
わたしは毎日普通にしていて良い
そうしているから
惑星の運行が滞りなく進んでいる
何もしていない手
その中を流れる血管や筋肉の収縮が
作ろうとしても作れない叡智であるように
何もしていないわたしが
太陽系惑星を
動かしている
こうやって日々のピースをめくっていくと
わたしは骨盤がきゅうきゅう
嬉しくなって
涙が出る
何もしていない日々が
わたしの一番奥を
ちゃんと喜ばせている
わたしがこうやって
日々のピースを
つまんで
持ち上げて
撫でで
洗って
いとおしむと
わたしの奥につながっている
地球が
きゅうきゅうと
声をあげて
よろこぶ
赤く熟れた実を
両手で持って
わたしは
にんまりと
地球をなでるように
赤い実の皮を
めくった
喜びのジュースが
滴って
わたしの腕に
うつくしい色が
流れてきた
わたしは
うれしかった
わたしの食卓に並ぶもの
毎日かけているテーブルクロス
長く使いつづけているわたしの食卓
生活すること
日常を生きていること
突拍子も無い事件よりも
日常の方が重要
食卓に並べられた
普段の食事
わたしのふつう
肩の力は抜けて
使いなれたお箸で食べる
まいにちのおかず
ふつうのご飯
そんな普通のおかずが並んだ食卓
わたしの日常
わたしは普通のおかずも
すばらしい贈り物も
咀嚼できる消化器を持っている
ひじきの煮たのも食べられるし
大地が産み落とした
食べられる人が滅多にいない
奇跡のスイカも
ふつうに食べられる
厚揚げをひっくり返すように
今朝うちに来たドラゴンの尻尾をめくり
食卓の話題に
淡々と載せられる
なんでも無いこと
びっくりするようなドラマも
なんでも無いこと
魔法の泉の水も
いつもの湯飲みに入れて
ごくごく飲み干せる
毎日飲んでるお茶と
変わらずに
わたしに吸収されていく
どんなに価値のあるすごいものも
そんなにありきたりで穏やかなものも
わたしは吸収していく
そうすることで
地球の循環に一役買っている
なんでもなく飲み干せるわたしがいなければ
きっと魔法の泉の水も
どうやって人に飲んでもらえばいいか
わからなかっただろう
伝説のスイカも
食べる人に届かなければ
大地にまた吸収され
跡形もなくなっただろう
ドラゴンだって
困ったはずだ
人とのふれあいや
人間はどんな風に感じるのか
わからなくて
お茶漬けをすするように
アセンションを体験し
洗濯しながら
体外離脱する
日常の中に
スペシャルを
淡々と織り込んでいく
このわたしの生活
スペシャルを吸収できる体は
普段からそのようでなくては
ならない
毎回体がびっくりしたり
過剰な反応が出ていたら
日常がおろそかになってしまうでは無いか
こうやって進んでいく
生活の時間が大切なのだ
魔法を織り込みながら
日々を過ごしていくことが
一番すごいのだ
特別なことは
日常に吸収されていく
そうして地球の歴史になっていく
特別を扱える才能は
特別を普通に捉えられること
だから
ふたを開けてみたら
わたしの日常には
あちらこちらに
魔法や
不思議や
価値や
とにかくすごいものが
ゴロゴロしている
こないだなんか
足が疲れたから
ドラゴンの背中に足を乗せて
休んでいた
ドラゴンの方も
いたって普通に
横になって寝ていた
寝不足の時は
冷たい水で顔を洗ってから
伝説のスイカを
パックに使うと
なかなかお肌が調子良くなる
親とケンカして
むしゃくしゃした時は
魔法の泉の水を
炭酸のレモン水と混ぜて
一気飲みしてやった
わたしのお腹の中で
どんどん魔法を弾けさせればいい
とヤケクソ気味に思いながら
それで
スッキリした
私たちの関係
わたしと特別なことの関係は
それでいいのだ
こうやってゴロゴロすごいものを
日常に使っていられる
わたしの胆力は
普通にしているが
やっぱりとんでも無いのかもしれない
はっはっは
こんな生活
いいでしょ
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