top of page
検索
  • sunao

68



68


68







わたしは見つけにきた



わたしは宇宙に梯子をかけた



えいやっと


大きな梯子を


思い切ってかけた




冒険にチャレンジしたかったから


新しいものを見たかったから


今までにない構造のものを発見したかったから




わたしがわたしの世界に



新しいものを見たかったから






わたしはその


宇宙にかけた梯子を


渡った


よし!行くぞ~と


勇んで


グイグイと一段ずつ進んで


やがて梯子の先端まで来て





進む先がなくなったわたしは



一度立ち止まった







ここから先は



今までの自分の進み方では



歩いていけないらしい



せっかく梯子をかけたのに



どうしたらいいのか








と、

モチベーションはあるものの



進み方がわからなくなっていた時










ふいっと





わたしの足が


梯子から滑り


落ちてしまった








落ちたと同時に

すごいスピードで

わたしの体は




真っ逆さまに

下の方へ下の方へ

移動していった








梯子から落ちた時


わたしは


これでわたしの野望は



終わってしまったなと


心底残念な気持ちで


真っ暗だったが






落ちつづけているうちに

どうやらこれは


宇宙の中の


一番最適な進み方なのだと


気がついて来た






地球にいた時の常識では

重力があるから


下に落ちることは


望ましくないことだったけど







ここは宇宙



空間に下も上も


良いも悪くも


価値の違いなんてない





梯子から落ちたのは

ただ宇宙の移動方法に切り替わっただけ


わたしは地球の常識しか知らなかったから


悪いことが起こったと感じたけど


最適なことが



わたしの望みに応じて起こっただけであった




そのことがわかってから


わたしのスピードは


素晴らしかった




地球にあった

重力や


善悪の基準


階級意識がなくなったら




宇宙は思うがままに進んでいける




自由な場所だった


自分の願いが


正しく現れる


自分の場所だった






わたしは


体一つで


ぐーんと進んでいった




梯子はもういらなかったし


他の道具もいらなかった





ただわたしのみ一つがあれば

前に前に進んでいけることが


しっかりとわかっていたから






わたしは太陽を目指した





程よくリラックスした感覚と


前に進む喜びと


ふつふつ湧いてくる熱を携えて


明るい


光を放つ玉に


吸い寄せられるように


進んでいった






あちこちの惑星や





小さい星の引力に


引き寄せられたり


楕円の軌道を描きながら




進んでいった





自分を縛るものが常識であったときは



大変視界が狭い気がしたが


自分を縛るものが宇宙の自然法則だと気がついた時は


どこまでも自由で



広がりがあって



帰って自分の軸が定まり


振る舞いが


自分らしくしっかりとしていた





あちこちの星を眺めはしたが

目指す先ははっきりとして


定まっていた




進みつづけたわたしは


やがて


太陽が視界いっぱいに広がる場所まで


まっすぐ進んで





その勢いのまま太陽に



真正面から突っ込んだ



グイーンと



シュッと




まっすぐ太陽に入っていった





そしてわたしの移動スピードは


太陽に入ってからも変わらず



太陽の光の中をくぐり抜け


そのまま




スコーンと


抜け出た





太陽を貫通して




わたしは向こう側に飛び出していた





目指す先は


太陽で

そこが終着点だと思っていたら


体の方が止まらずに


太陽を突き抜けてしまった






なんと天晴なわたし自身よ




まっすぐに進んで

太陽の光のかけらが


体から振り落とされるのを感じながら


わたしは飛んでいた







わたしにもわからない


進む先へ


わたしにとってちょうどよく

幸せな充実感を感じる速度で








宇宙全体を見渡せる目から見たら




わたしの移動がきっと

ちっぽけなものだったかもしれない



だけどわたしは満足していた







こうやって進むごとに溢れてくる





わたしはわたしをやり切っている

という感慨が



溢れてくる





胸の奥には




感慨の温泉が湧いているようだった




わたしは


いつまでも飛びながら


幸せを


充分に抱きとめていた







Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page