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わたしはDNAの不思議について
いつも心を巡らせてきた
シマウマの縞模様の間に
吸い込まれてしまう
果てしない生き物の情報の渦を
旅するような感覚
そんな風に
自分が生きていることや
生き物が作り上げられて行く
過程の不思議な厳密さへの
モチベーションがあった
わたしは知りたかった
自分が生きている理由や
生きていていいという証明や
どんな風に生きるのか
DNAに刻まれた
生き物の生態を知るように
自分が生きる道筋を知りたかった
どう生きるか
ということへの絶対の答えがあるはずだと
肌の感覚で信じていた
どう生きるのか
わたしは
自分の命の有様に
きちんと敵うように
生きているのか
そのことが知りたかった
ある時
わたしは気がついた
わたしがわたしの生きたいように
過ごしていれば
それが
わたしという個体の
命に敵う
真っ当な生き方なのだと
ついに知った
そのことを知った途端
わたしは自分の体が
まるで柔らかい樹木のように
ぐにゃりと
ひらけて行くのを感じた
自分の中に眠っていた情報たちが
今こそ使われる時だと
中から飛び出してきた
わたしは客観的に
自分の生き方の正解を知りたかったのだが
ここへきて
主観が自分の命の本流なのだと
雷に打たれたように
思い知った
わたしはわたしがやりたいように
生きる生き物だったのだ
わたしが思うがままに生きていれば
わたしはわたしという個体を
真っ当することができるのだ
主観とは面白いもので
自分を外側から観察して行動を決めていた時とは
全く違うように世界が見えた
例えば
蟻の行列を眺めている時
客観的に見ると
それは蟻の行列でしかなかったが
主観的に見ると
わたしには
数えきれないほど
大勢の仲間と
生きる力を共有している
羨ましい存在だった
象が長い鼻を振り上げる様も
客観的には
家族や同種への
挨拶のように見えていたが
主観的に見ると
象は大地の一部として生きていて
その「わたしは生きているぞ」
という感覚を
世界に表明しているように
感じられた
思うがままに生きているということは
いつも
自分が躍動的で
心がナビゲーターになっている状態だった
わたしは迷わなくなった
自分の行きたい方向が
わかる
この素晴らしい感覚を
心の底から喜んでいた
自分が地球の電波塔になり
宇宙へ向けて
わたしが進む道を
レーザービームで差し示す
わたしはわたしの進みたい先がわかる
まさにDNAの情報を
生きている状態だった
明るい水色のレーザービームを
宇宙にまっすぐ飛ばしながら
わたしはこれから自分が向かう先に
懐かしく手を振った
そこで待っている
未来のわたしが
こちらにビームを伝って
エネルギーを
送り返してくれた気がした
わたしよ
待っていてくれ
今
未来に追いつくからな
視野がどんどんひらけて行くのを
感じながら
わたしは
水色のビームを
宇宙にまっすぐ飛ばした
そして
重力から放たれて
スッと
宇宙へ
飛びたった
わたしはちゃんと
自分が生きていることを
たくさん許したのだった
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