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わたしは畑にいた
黄色い色の実をつける
背の高い穀物の畑にいた
こうやって
畑に立っていると
わたしは自分の体が
黄色の穀物の影に入って
隠されているような格好になり
それが少し不満だった
わたしはもっと
外に開かれていた
わたしはもっと
広い場所に
放たれていたい
そうして自分を喜んでいたい
そんな気持ちが自分の中にあると気がついた時
わたしは自分を
影の外に出していいんだと
わかった
自分の行動は
決めていいんだった
そして
さっと
黄色い穀物の影から躍り出て
畑に降り注ぐ太陽を一身に浴びた
わたしは開かれるために
ここにいる
わたしがかつて望んで
体を持った時に
選んでいたこと
それをやろう
今
タイミングが来ているのを感じた
まずは
髪をくくっていたバンドをほどいた
肩に
わたしの髪が広がった
それから両足を開いて
地面に立ち
自分の胸の真ん中を
空に見せびらかすように
腕を広げて
心の奥深くにある
わたしの願いがぎっしり詰まった
箱を
太陽の光に差し出した
わたしの胸から
蓋をした箱が
浮かび上がりながら
出て来た
わたしは
これを自分で
自分の体の外に
出せたことに
驚きながら
じわじわと喜びが上がってくるのを
感じた
この小箱を
胸の奥から
表出させることが
わたしの長い間の願いだった
わたしが願ったもの
わたしが望んでいたこと
わたしの喜びが詰まったもの
中から少し光が漏れていて
わたしの積み上げて来た喜ばしい願いが
今にも溢れ出しそうになっているのが見えた
わたしは
胸の小箱を掴んで
グッと握り
次の瞬間
太陽に向かって
自分の持てる力を
じっくり全身から集めて
放り投げた
わたしの願いの箱を
グッと
まっすぐ
太陽に投げつけた
そうしたら
太陽を目指して
飛んだ箱は
現実の世界と
夢の世界の狭間まで飛んで
そこで
太陽の光を吸収し尽くしたらしく
ものすごく明るい音を立てて
木っ端微塵に弾け飛んだ
粉々に
大空を覆い尽くすように
箱と
中に入っていた光が
広がった
それままるで
空に
大きな大きな光の花が咲いたような光景だった
うすく黄色い光の粉が
柔らかな軌道で
丸く広く
広がっていた
その景色を見ながら
わたしは
わたしの胸の中でも
同じように
大きな光の花が
弾けるように咲いていた
明るく煌煌しい
さわやかな光が
花の形に
ふわっ広がっていった
わたしの願いや
わたしの望みたちが
小さい粒になって
大空に振りまかれた
それは
まさに
わたしが見たかった景色だった
明るい光の粒が
煌きながら
地球の上に降り注いでいく
わたしが願ったことが
明るい光となって
地球に広がって
吸収されていく
わたしの願いの力は
こんなに明るく
さわやかに
地球にとってのおいしいジュースのように
染み込んでいく
わたしは願うことを
ずっと続けて来てよかったと
心の底から安心した
きっと宇宙の方から見たら
わたしが中心になって
わたしから生まれた種が
太陽との化学反応によって
あっという間に芽が出て
爆発的な成長をして
花を咲かせたように
見えているだろう
そう
この大きな大きな花は
わたしが咲かせた
わたしの中にあった
願いのタネが
太陽のエネルギーを浴びて
急成長して
開いたのだ
宇宙からの視点だと
きっと
わたしの自意識の働きによるものだと見えるだろう
だけどわたしは知っていた
確かにわたしがやったことだけど
わたしはその時に
体から溢れる
「今、こうするのが自然」
を、感じるままに
そのまま動いただけ
大きなことをやる決意も
大胆なことをやる意欲もなかった
わたしは
その時に感じたことを
素直に動いただけ
それだけなのだ
小さな光が
さわやかに広がってできた花を
胸の中で咲かせながら
わたしは
わたしが
地球が花を咲かせるための
一つのプロセスだったことを
感じていた
わたしの願いは
地球が望んだことだったのかもしれない
そしたら
わたしは
地球の一部ということだ
そうか
小さいだけの存在じゃなかったのか
願いの箱を作り続けよう
何度でも
光の花を咲かせよう
わたしは
とても
安心して
うれしいような
ぽかんとしたようなエネルギーで
宇宙を見上げていた
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