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わたしは踏み越えてきた
わたしは龍の体を持って
たくさんの地面の波を
かいくぐって
進んできた
たどり着きたい先がわたしにはわかっていて
そこにいくためには
この目の前に現れてくる
土の波を
くぐってくぐって
体を動かして
先へ先へ
進まなくてはいけない
だから
わたしは
進むことをやめずに
いくつもの
土の波を
通り過ぎてきた
重い波をくぐることは
手応えが大きく
よくやったと
自分を
褒めたくなる充実感があった
わたしはかいくぐってきた波の終わり
終着地点に来て
今度は
地面を踏み固める段階に入った
わたしの龍の体にはえた
8本の足を
交互に地面に押し付けて
ドン
ズン
グイ
と茶色の土を
下の方に押した
わたしが押す圧力が地面に伝わり
だんだん地面は固まって来た
わたしの龍の体は
ぐるりと縁を描いていて
地面は球の形をしている
踏むごとに
地面は輪郭がしっかりし
形がはっきりし
乱れていた球のラインは
完璧な
良いバランスの
丸になっていった
球の輪郭を
ぐるりとなぞるように飛び
足で地面を
さらに押し続けた
踏んで踏んで
すっかり地面は
うつくしい球になった
わたしは地面を踏んでいたが
目的は
地面を固めることではなかった
地面の中に
真ん中にある
この世に力を与えている
宝玉に
わたしが踏む力を
届けていたのだ
グイと踏むごとに
わたしの力が
宝玉に伝わる
ダンと踏むごとに
わたしの力が
宝玉に伝わる
地面を通って
宝玉の中に
力が蓄えられていく
地面の暗闇の中で
しっかりと
宝玉に力が届き
どんどん宝玉の中のエネルギーが
濃くなっていく
宝玉の表面には
赤いラインが浮かび上がっている
わたしが踏むごとに
宝玉のラインが震えて
力が集まっていることがわかる
ああ
わたしはこうやって
力を溜めて
地面をならして
大事なものを育てているのだ
この世を動かす
力の源
わたしが蓄えているもの
体の中心から
一番真心がこもったエネルギーを
体の勢いに任せて
自分の中心から
振り下ろす
わたしの一番
大事な
生きている軸で
ドンと地面を叩く
わたしの軸の力は
とても大切なもの
わたしはこのことがとてもうれしい
自分の軸の力が
まっすぐに使えると
わたしはとてもうれしい
わたしは自分の軸の力を使えていると
自分が本当に大事なことを
ちゃんと表現し
自分の働きを
しっかり
やり遂げられていると
心から感じられる
そして
最後の地固めの足を
振り下ろした時
地面に接触した
足の一本から
わたしの軸が
グッと
宝玉に突き刺さった
わたしの大事な軸
わたしが生きている軸が
この世を動かすエネルギーと
深く
通じ合った
その途端に
わたしの龍の体が
光とともに
めくれ上がっていって
人間の体が中から出てきた
この世を動かす宝玉から
わたし自身が蓄えてきたエネルギーが
軸を通じて
グワッと立ち上ってきた
自分で蓄えてきたものを
自分が一番に受け取って
わたしは人間の体に成長した
ああ
ここからわたしの人生が
幕をあけるのか
わたしは
わたしの軸をグッサリと
この世のを動かす宝玉に刺し
大きな仕事を終えて
龍の体を脱いだ
あとは軽く
軽く
脱力した体で
軸から伝わってくるエネルギーを
ただただ放出していれば良い
この力の抜けた体で
伝わってくる光のエネルギーを
手から先へ
空気の中へ
流していれば良い
大きな厳しい体でやる仕事は終わった
あとはただ
宇宙を見つめて
手のひらから
美味しいような
気持ちいいような
わたしが捧げてきた愛を
そのままわたしが受け取って
手から軽やかに
風に乗せて流していれば
素晴らしくしあわせだ
ありがとうわたしよ
こんなにたくさんの光を
溜めておいてくれたなんて
ありがとう
あとはなんにもしなくても
わたしからのエネルギーに
身を任せていた
わたしは
それで
とても
しあわせだった
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