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  • sunao

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わたしは

位のある役人で

馬を走らせ

自分の役割に邁進していた



明るい茶色の馬の背にまたがり

黒い鞭を

打ち鳴らして

先へ先へ

任務を追いかけるように

走っていた



わたしには大事な仕事があり

それを全うするのが

わたしの使命

何人たりとも

わたしを妨げることは

許してはいけないのだ




やる気と情熱を持ってわたしは

馬を鞭打って

走らせた




しばらく走ったところで

わたしは

馬の走りが鈍くなっていることに気がついた


なんども鞭を打って

わたしの意思を知らしめたが

馬の反応は鈍かった




なぜだかわからずに

わたしは

戸惑い

鞭打つ手を止めた



一瞬間が空いて

急にわたしの意識は

自分の体を抜け出し

馬の中に入り込んだ



人間とは作りの違う馬の体は

たくましく筋肉が連動し

熱く躍動するようだった



そして人間とは違う

何か別の意思に導かれるように

走っていることがわかった




わたしは馬の体に入って初めて

これまで付き合ってきたこの馬が

わたしの意思ではなく

大地を流れる

地球の意思に

導かれて走っていたことに

気がついた





これまで

この栗毛の美しい馬は

自分の意思の下に

従えている生き物だと思っていたが

わたしのほうが

支えられて

地球の意思に導かれていたのか





驚きとともに

自分の中の自尊心が

逆転するような感覚が起こった




わたしが導くのではなく

導かれていた




頭で思うこと以上に

地球上をいく筋も流れている

星の喜びの流れに

知らず知らず

寄せられていた



この馬は

わたしが鞭打つにも関わらず

自分の感じている流れを

外れることがなかった


そのことが結果わたしを

1番の豊かさに

出会わせてくれていた





馬の体に入ったわたしには

明るい金色の

川のように流れる筋が

地形のあちこちにあるのが見えるようになっていた





馬は

明るい金色の筋を

迷うことなく進んでいた



そこを進むことが

自分にとっても

地球にとっても

自分が載せている人間にとっても

一番良いことだと

わかっていたからだ



馬の自分を信頼する感覚や

地球へ自分を捧げている姿勢が

わたしには

素晴らしいものに思えた




自分にとっての最善は

地球にとっての最善と一致している




わたしは

馬の体に入って

そのことを

学んでいた






そして

また一瞬のうちに

わたしの意識は

人間の体に戻っていた




わたしは

何かとても大切なことを

学んだ後の

自分がちっぽけだと感じる感覚や


何か大きなものに許されている感覚を

自分の体で味わっていた




そして



今は

馬の体に入って見たように


明るい金色の

流れる筋が

見えるようになっていた



あちらにも

こちらにも


うつくしい

金色が

流れている



わたしは無意識のうちに

手を動かし


今度は優しくなぜるように

馬の体に手を置き


少し太い方の金色の流れに

進むよう

心のうちで馬に伝えた



馬は瞬時に身を翻し


空に

喜びの声を投げた後


わたしが差した方の

金色に

走り寄って



流れの真ん中を

堂々と

駆け出した



わたしは

自分が馬と一緒になって

走っているような感覚で

金色の流れを味わっていた




わたしは

許されている


この金色の中を

進むことが

喜ばしいことだと

わかる


そして

馬も同じように

喜びの中にいる



許された心地の中で

金色の川を走っている





わたしの使命とは


わたしや馬や

そのほか大勢の生き物が

ただ喜びの感覚にまっしぐらに進むことを

知ることだった





任されたから

任務だから

進むのではない



わたしは

感じることを自分に許せば

いつでもこの

地球の上を流れる

金色の流れを見ることができ


そこを進む喜びを

味わうことができたのだ





わたしは

鞭を打っても進まなかった馬に

心から感謝をした




わたしが

許された感覚と安心を知るために

あの時進まなかったのだ




今こうして

一緒に走りながら

初めて馬のたましいが

姿をあらわしてくれたように感じた




わたしは確信を持って

自分の行く先が

喜ばしいもので在ると

知っていた



わたしは生きることを

選び直し


ただ喜びの金色の流れを進むことを選んで

馬と一緒に

どこまでも走った





わたしは自由の意味を

知った









それはとても

安心するものだった






わたしは

身体中の意識が

ホッとして



先に進む足が

とても喜んでいるのを感じた




わたしは

しあわせだった









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