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わたしは緑色の
大きな歩い光で
水に滲む絵の具のように
縁を揺らめかせながら
真空の
黒の中に
ただ浮かんでいた
わたしの方から地球を見ると
丸く球になっている塊の中に
緑や茶色や青や白や赤が
一緒に散りばめられてあって
それぞれの素材に情報がぎっしり詰まっていて
なんて賑やかなエネルギーが行き交っているんだろうと
不思議に思った
宇宙にいることは
とてもシンプルで
ただ在るだけのことだったから
わたしには
まるで
地球のすべてのものが
チャンネルの違う番組を見ているような
おかしなものに感じられた
わたしは地球に近づいて見て
だんだん
複雑なものが
もっと複雑で在る様子がわかってきて
こんなに自分と違うものは
一度
自分の体を通して
知って見なくてはならないと感じた
わたしは大きな大きな緑色の光で
その大きさは
地球の何倍もあったから
緑色の放射状に広がる光のまま
地球に近づき
地球を自分の中に通過することで
スキャニングした
地球の端の方と
わたしの中央部分とを出会わせ
そのままわたしが前に進むことで
わたしの丸の中に
地球を通して
一体どんなものがあるのか
その情報をスキャンした
わたしは地球を読み取りながら
わたしの中心部で
実際にどんなエネルギーなのかを
観察した
そして
わかったことは
地球上で起こっている
生物たちのやりとりは
活き活きとしたもので
小さな光が
キラッと光る
その光が感応しあって
情報や
エネルギーが伝播している
キラリ
チカリと伝わっていく光が
地球のあちこちを飛び交っている
そして
そのやりとりは
とても小さいが
とても鮮やかで
「感じる」ことの感覚的な喜びを
使ったゲームのようなものなのだ
わたしは
わたしの中央部で
地球の上で起こるあらゆるやりとりを
親しみを込めて
面白く感じていた
地球の真ん中あたりに差し掛かると
今度は
赤い凝縮されたエネルギーが
集まっているのがわかった
ぎゅうぎゅうとあつく燃えて
それが徐々に地球の表面に
温度を冷ましながら伝わり
わずかづつ
地表に影響を与え
動かしている
ほほう
こういう仕組みになっていたのか
わたしは面白く感じ
さらにスキャニングを続けた
今度はだんだんと反対側の端の方に
進んでいたので
地球の中で
枯れていくものを読み取った
サイクルの途中にある
無になっていく物理情報が
あちらこちらにあった
こうやって
なくなっていくものがあることで
地球は均衡を保っているのだということがわかった
そして反対側の端を通り過ぎ
わたしは地球を通過した
通り過ぎてみると
なかなかにわたしを楽しませ
地球ならではの味わい方を
知ることができた
独特の周波数を持つ地球
面白いものだった
わたしは地球を通り過ぎた後
自分の体が
緑の他に
赤や青になっていることに気がついた
地球をスキャニングしたおかげで
新しいコードが
自分の中に組み込まれていたのだ
これは気分が良い
わたしは
嬉しくなったので
もっとあちこちの星に
行って見ることにした
大きな大きな光を
移動させて
わたしは
今度は
青の星の方へ向かうことにした
地球を通り過ぎたのは
実に面白いことだった
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