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わたしは
いくつもの
光が集まってできた存在だった
黒い背景のなかで
小さな光の粒たちが
寄り添うように集まって
同じ方向に動く
そんな風に
小さいものが
集まってできているのがわたしだった
いく筋もの光のシャワーが
同じような方向に流れていくように
小さい魚たちが
何百何千と集まり
鱗を煌めかせながら
太い螺旋を描くように
離れて見ると
光るクラゲが
体を揺らして
水の中を進むように見えただろう
たくさんの小さな光が
集まって
そこに何か
柔らかな通じ合いや
電気信号が走りあって
集団が一つの意思を持つように
なめらかに
柔らかに
軌道を描いているのがわたしだった
わたしは
小さい光の一つだったが
集まった光の粒
全てがわたしだった
わたしは
細かい私たちが
弾けるように呼び流れを
俯瞰して見ていたが
同時にわたしは
先頭を進む
一つの粒であり
真ん中のあたりで
周囲との繋がりを感じる粒であり
後方をついていくように流れる
一つの粒だった
わたしは
そうやって
一つでありながら
集団で
移動する星だった
いつでもわたしは
世界の端々から
滲み出てくる
軽やかな気配で
自然に現れる
優しい良きもので
例えば空にかかる虹の
光の粒一つ一つであることもあったし
霧の朝に
陽の光を受けて
草に濡れる一粒だったり
一番最初に
祈りとともに
さりげなく
備えられた
城の天井に揺れる
透明な飾りの一粒であることもあった
さりげなく
柔らかく
しかしちゃんとそこにある
小さな粒の
集合がわたしだった
ある時わたしは
自分の役割が
この小さい
柔らかい
良きものの粒たちであり
その特質を生かして
集団で一つの
大きな膜を張ることだと
悟った
それは
わたしという小さな一粒の集まりと
宇宙の星の数とが
ぴったり同じであるから
できることだったようだ
わたしはそのことに気がついてから
すかさず
テレポーテーションのように
一瞬で移動して
自分の役割を遂行した
それは
地球の周りに
細かい粒でできた
柔らかい幕を張ることだった
外から入ってくるものも
内にあるものも
わたしという
柔らかな粒の集まりを
すかして通過する
そのことで
それぞれが
脱力し
一番に大切なものだけが残る
長く残るものが
余計な情報をそぎ落として
真髄だけになるように
柔らかでやさしい情報のみが
わたしという光の粒の膜を通過していった
それは
大雨が止み
雲の筋から光が差すような
暑い日の夕方に
涼しい風が吹くような
曇りの夜に
星の光が透けて見えるような
そんな風情だった
わたしを通過したものは
柔らかく優しく
一番大事なものだけが残る
地球の周りに張り巡らされて
わたしは柔らかく地球を包んでいた
わたしは地球を包んでいることにも
満足だったし
わたしという集団の
一つ一つが
小さな小さな光の粒で
決して
一人だけが大きくなったり
他のものを虐げないことも
とてもよく思っていた
わたしは小さな光のまま
たくさんのわたしと集まり
地球の保護膜になっている
わたしは柔らかな心地で
自分の姿を振り返り見て
満足げに
体を揺らした
わたしの中で
地球が嬉しそうに
震えた
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