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わたしは夢を見ている
天の高い高いところで
わたしは寝ている
わたしは明るい場所にいる
ここは何物にも侵されることのない
白と金と柔らかな黄色の世界で
見渡す限りに雲が
広がっている
わたしは大きな大きな
仏の傍に寝ている
横になり
雲の台座にもたれている
ここは安全で
安らかな場所だ
仏はゆったりと
そこに浮かぶように立っている
金色の体で
体のなかに
なみなみと叡智を蓄えて
何もせずにいる
わたしはここで
安らかに寝ていることが
とても良いことだと知っていた
わたしは寝ている間
宇宙の中にいる夢を見ていた
地球にいて
ただ諾々と流れてくる情報の川に
入っていた
川には水でなはく情報が流れていて
わたしは足ではなく
頭を浸していた
ただただ勢いよく流れてくる情報を
わたしは頭で受け止めていた
だんだんと自分の存在が麻痺してきていたわたしは
思い切ってその川から抜け出ることにした
何もせずに川に頭を浸していた時は
難しいと感じていたが
いったん抜け出ることを
決めて体をひょいと動かしたら
川から外れることは容易かった
わたしは川から離れて
宇宙の中を
情報の川がぐるぐると流れていくのを見た
真空の暗い広がりの中を
ただ情報の川が
一筋に流れていく
浸っていれば影響があったが
抜け出た今となっては
わたしには関わりのないものになっていた
平泳ぎしながら
宇宙を散歩していると
わたしは
自分の中から情報が
湧き出ているのに
気がついた
外から与えられなくとも
わたしは自分の中に
情報の泉が湧いていた
おお
こんなにわたしには
面白いものが生まれていたのか
気がつくことができてよかった
自分の中の情報の泉に
夢中になっていると
ある時
黄金の体を持った
大きな大きな牛の神の立像にぶつかった
自分の面白さに夢中になっていると
わたしはその立像に吸収されていることに気がつかず
だんだん奥へ奥へ取り込まれていった
わたしのことを吸い込んで
栄養を取ろうとしていたらしい
しかしわたしはハッと気がついて
この大きな黄金の権威の中にいては
自分がすっかり骨抜きになってしまうと思い
手足を使って
黄金の中をかき分け
立像の頭の方から
しゅぽんと抜け出した
面白いものに夢中になっていると
自分以外の大きな存在に
吸い込まれてしまうことのあるのか
ははあ
なんとも驚いたものだった
しかし
わたしは権威の幻に
負けることはなかった
大きな牛の立像を抜け出した勢いで
わたしは自分自身のからも
同時に破って
その衝撃で
目が覚め
天の上の
仏の足元で
起きた
なんと濃いひと時を
夢の中で過ごしていたのか
起き上がって
肩の力が抜けていたわたしは
自分がいるところが
眠る前の
白と金と柔らかな黄色の天と同じで
仏の足元で
安らいでいたことを確認して
はぁ
と一つ安堵のため息をついた
わたしの夢で旅した時間は
貴重な経験だった
わたしは安穏と
気楽な小さな仏だった
起き上がって
自らの姿を
光の反射で確認し
体をブルブルと震わせると
全身から
薄い雲が立ち上った
雲をかいて
一つの塊にすると
わたしはそれに飛び乗って
自分の天へ
帰るために
ヒュルリと雲を動かした
ああわたしの天は
帰るのがこんなにも
喜ばしく
嬉しい心地のするものだった
にっこりとしながら
わたしは自分の仏の姿を
満足げに見やって
大きな大きな仏に挨拶をし
爽やかに雲の線をなびかせながら
自分の天へ上っていった
わたしは自分の旅ができて
本当に
嬉しかった
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