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  • sunao

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流れ星が

降り注ぐ中

わたしは


長い長い時間のトンネルの中にいた





長いことここを歩いているけれど


出口が見つからなくて


道を考えあぐねていた






う~む

ここで流れ星を浴び続けるのも






いいんだけど


わたしはもっと


心で感じることを

やりたいなぁ




そんなことを考えていたら



面白いことが起こった




今まで流れ星がわたしの周りにながれてきても

触れることはなかったのだけど


ある黄色と緑の


星が不意に


わたしの頭にコツンと落っこちてきた





自分と星との直接の出会いに

びっくりした




そしてだんだんと


星が触れたあたりから


わたしの体が緩んで

黄色や緑や何か明るい白になっていることに気がついた







これはもしかしたら


わたしが長らく待っていた


素敵な運命の出会いだったんじゃないだろうか








そう


わたしは自分の心が

本流を生きていることを


実感したかった







太い川が


心の中に流れていて


わたしを安心させてくれることを


待っていた





だから


自分の体が


カラフルに変化していることが


吉兆のように思えて嬉しかった




わたしはこの時から


自分の本流を選ぶようになった





自分の体が

様々な色に変化することを認めたら


わたしに必要なことは


ちゃんと起こっているし




じゃんじゃん流れてくる流れ星も

わたしがこの手を伸ばして


キャッチすれば


あっという間に


手や腕を染め上げる


うつくしい光を



堪能することができた







わたしは自分に選択権を


据え付けた






そうしたら


また


わたしの視界は広がり



わたしの心の本流は


どんどんその幅を増していった








心を軽やかに浮き立たせる

星たちの光を集めて


わたしはそれを物質に変え


船を造った




白く


ところどころに


明るい色がさす

ポップな雰囲気の船だ






それを


わたしの心の本流に流し


自分の心の


どこまでも広がりゆく世界に


わたしは旅立った






船は最初のうちは

そろそろと



三つ数えてからは

急に勢いを増し

どんどんと

奥へ奥へ



本流の流れてくる先へと進んでいった





心の奥へ


本流の流れてくる先へ


進むにつれて


わたしは



自分の体が


また柔らかく


ゆるく


透明になっていくのを感じていた







奥へ進めば進むほど


わたしは自分が柔らかくはかなく

広がっていくのを感じる



たくましい

ここではあまり必要ないみたいで

いつしかわたしは

頬の筋肉が


緩んで


薄く歌声をつぶやいていた








わたしの船は

白く

順調に流れに乗って

まだ見たことのない奥へ

進んでいく





胸の奥へ

未来の方へ

わたしの知らない

わたしの世界へ


どんどんと進んでいく




わたしは最初

流れ星が偶然

頭に落ちるまで

わたしの本流は

どうやって進むのかわからなかった




今は

教わらなくとも

ここをまっすぐにゆけばいいと

わかっている



わたしは進む


わたしの未来から

流れてくる

心の本流を


進んでいく





わたしの心の奥に未来があり



そこから今のわたしを導く流れが


こんなに太く


こんなにおおらかに


こんなに豊かに


サラサラと音を立てて運ばれてきている



肝の太いわたしが

未来で待っているのを感じて



わたしは

また頬を緩めた




わたしの本流は

これまで降ってきた流れ星が

ぽちゃぽちゃと落ちていたらしく

川底に

淡く鮮やかな光が放たれている


そのことも

わたしという懐の広い存在に

ふさわしい彩だと感じた




よく流れている本流を

明るい彩りに囲まれて

わたしは進んでいく



胸が踊るような

体が星に染まるような

とても良い気分だ



後ろに残していくものは

本流の水に溶かして

星の栄養にしよう



そんな風にして

わたしは自分の未来へ進んでいく意識を

とても大事に

とても楽しく

思うことを学んだ




体に残ったこの経験は

きっと未来のわたしの懐を

また広げるだろう



たくましいわたしが

幸せそうに

未来で笑っていた







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