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思い出を語るように自分のことを思い出す




わたしは

幸せだった

自分が自分を成し遂げたことが

自分をやり終えた時に

ちゃんとわかったから


震える喜びから

いくつも輝きが溢れ

あたりにダイヤの光が散りばめられた



わたしは本当に嬉しかった





ある時わたしは

プテラノドンに生まれた


体は美しく青く

飛行する能力があり

筋肉のついた羽根や

先を見通す視力を持っていた



わたしの特徴は


まっすぐに飛ぶこと

直線に進むのが得意だった



空のかなり高いところを


まっすぐに飛び


空気の集まりの中

わたしの通り道だけが

空気抵抗がなく

飛ぶことをやるときは一番にストレスがなかった




わたしはなんども

まっすぐ飛んだ



そして

必要な箇所で

急なターン

くるりと方向転換して

きた方とは逆や

斜めに

またまっすぐ飛んだ



飛ぶ

くるり

飛ぶ

くるり

飛ぶ

くるり

飛ぶ



そんな風に繰り返し



わたしは地球の空に

直線で構成された

模様を描いていた



わたしの飛んだ軌跡が残り

浮かび上がるようにしてできた幾何学模様は

見るからに

良い切れ味で

わたしは

自分に自信を感じた




ただこの時のわたしは

考える機能がついていなかったため

全ての運動は

体のキャッチしているリズムによって

行われていた

まるで

動く、飛ぶ担当として

地球の一つのパーツであるかのように

わたしはわたしを生きていた





感慨を持たずに

自分の働きを達成していくことは

わたしに満足感を与えてくれた



わたしはわたしの仕事ができれば

十分に

体が満足する




地球はわたしの体に比べて

大きかったので

その幾何学模様を完成させるまでには

少し時間がかかったが

ついにわたしはやり遂げた





そして

使い終わった体を

おおきな木に預け

そのまま魂を

体の外に出した



枝に持たれたわたしの体は

しばらく時間を置くと

自然に風化して

骨になった




そのあと




体から抜け出たわたしは

喜びに震えていた

わたしはやった

自分をやりきった

全うして見て

初めてわかった



あれが体があるということ

あれが自分の役割をやるということ

あれが生きる

ということだった


永遠に死なないわたしは

生きる

状態をよく感じ

よく味わうために

体を持つのだ



わたしは

自分が生きたことに

震えて

感動していた



わたしは自分をやり遂げた


その喜びが

こんなにも光になって溢れてくる





自分を生きたことが

わたしの魂の質を

おいしく

うつくしく

チャーミングで

良いものにしてくれていた





また人間になったら

わたしというたましいを

てのひらに乗せて

愛そう



こんなに純粋に

うれしく輝いている

このわたしを

手のひらに乗せて

褒めよう



次のわたしはきっと

自分の好きなものをセレクトするのが

好きだから

その時に

いちばんやりやすい

わたしはわたしを気に入って

愛しているを

やって遊ぼう




その時に

手のひらに乗せられたら

わたしはきっと喜びの光が

スパークするだろう



四方八方に

鮮やかに光を飛ばして

嬉しがるだろう



楽しみだ

その時が



そして

そのわたしを生きることが

終わったら


わたしは泣いてよろこび

自分を可愛がって生きた自分に

最大の愛と

お礼を返すだろう


わたしからわたしへの

贈り物は

手のひらに乗せて

わたしのたましいを

可愛がるひと時



わたしの最高の幸せは

そこに生まれてくる




わたしが選んだわたしを

わたしはいつも

愛している







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