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わたしは女帝
わたしは盤石の大地を動かし
地脈からのエネルギーを飲み
その充実感で
龍の飾りを踊らせ楽しんでいる
わたしの吸引力に引かれないものはいないし
わたしは自分がその力を使えるとも
知っている
引っ張ってくる力
それがわたしの権力の源だ
見たか者共よ
わたしの美しさは
力が支えている
わたしの素晴らしさ
大地がわたしの後ろ盾についている
龍の愛らしいことよ
嬉しそうに体をくゆらせて
わたしに愛されるのを待っている
髪飾りも
爪飾りも
赤くきらびやかで
力のある細工でできている
チラチラと揺れる
金の粒も
わたしのために働けて嬉しいだろう
女帝であるわたしは
華やかで
広い国土に君臨する存在
わたしに使えるものは皆
圧倒的な身分の差に
おののいている
偉そうなのではない
わたしは実際に
偉いのだ
だからこの女帝の椅子に座っている
わたしの心が表すものは
華やかで可憐な
シャクナゲの花
桃色の花びらに
一つの茎から
力が押し出されるように
いくつも咲いた花
可憐さに圧力をかけると
こうやって
一度に濃いエネルギーが
たくさん咲く
その構造を
わたしはたいそう気に入っている
おお、よくやったと
褒めてやりたい
目で愛し
花の一つ一つのひだを
じっくり眺めて
わたしはわたしの心に
美しいエキスが流れ込んでくるのを
感じている
純粋にうつくしいものは
圧縮された力を持っている
シャクナゲは
そのことをよく表している
わたしにふさわしい花
そばに置いておくに
ふさわしい花
わたしの価値を
存分に表現する花
大地が割れて
地面が崩壊しても
後に残っている
可憐で
奥深い凄みを持っている
そしてそれはわたしのことだ
空を見上げると
青の空気や雲がわたしに挨拶をする
空や雲たちは
わたしが偉くて素晴らしいことを
よくわかっている
わたしもそのことに満足している
ここに君臨してやっているからこそ
空や雲はわたしに挨拶することができるのだ
わたしは親切であろう
この女帝の椅子にもたれて
大地に寄りかかって
自分の重要な素晴らしさを思う時間は
わたしの憩いだ
自尊心などという生半可なものではない
わたしが絶対の君主であり権力の象徴で
うつくしいものが
ここにあることが皆の喜びなのだ
どうだ嬉しいだろう
わたしは
どこまで偉そうにしていても
心が表すものが
可憐なシャクナゲの花であるから
民はわたしのことを
愛している
このように
自分の裏側
わたしから見えないわたしが
皆に認知され
愛でられていることも
わたしはよく知っている
だからわたしはここにいるのだ
偉くて
可憐で
愛されたわたしが
ここにいるのだ
この幸福を
わたしは伝えているのだ
わたしを崇めることができて
うれしいだろう
わたしも満足している
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